つなぐ人たちの働き方(2019年度冬)#5 哲学者/カフェフィロ副代表・松川えりさん



2020年1月21日(火)、哲学者/カフェフィロ副代表 松川えりさんをお招きして科学技術と社会のあいだで活躍する実践者から学ぶセミナーシリーズ「つなぐ人たちの働き方(2019年度冬)」第5回を開催しました(授業「科学技術コミュニケーション入門B」の一環として開催)。大阪大学の学生、教職員、そして学外の方など、計17人が参加しました。

まずは「専門を活かす仕事をつくる ~てつがくやさんの場合~」というタイトルで松川さんより話題提供がなされました。「哲学者」として生きている人の中で一番多いのは、哲学の研究者(大学で哲学研究を行う人、過去の哲学者の本を読んで新しい解釈を見出し論文を執筆する人など)です。次に考えられるのは文筆家(一般の人が理解しやすいような書籍を出す人、コメンテーターなど)として活躍する哲学者です。松川さんは、研究者でも文筆家でもない哲学の実践家(philosophical practitioner)(対話を通じて思考を掘り起こす人、一番古くて新しいかたち)というという道を選んだ方です。現在は、岡山県を中心に活躍されています。

松川さんは大阪大学の文学研究科出身です。学部生から博士課程を経て、研究員まで、約16年間大阪大学に通い続けていたそうです。哲学系の研究室に入り、研究室の先輩に誘われて「哲学カフェ」という活動に参加するようになった松川さん。カフェフィロという団体の運営に関わるようにもなります。そして、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)で研究員をされていた頃は、中之島哲学コレージュという哲学カフェの運営サポート・企画、広報デザインに関わりながら、CSCDで行われていた哲学以外のコミュニケーション実践にも触れることになりました。そこで、やっぱり「哲学しかできない」という想いを新たにし、研究活動とはちがう哲学の在り方を模索してきたのだそうです。

いまは、ボランティアとしてではなく、お仕事として哲学カフェの企画・進行を引き受けていらっしゃいます。持続可能なかたちで哲学カフェを運営していくことができるまでになってきたそうです。依頼者や参加者が対話の場に期待することを聞きとり、関心が交わるところを探しながら、哲学カフェや哲学対話の場を日々創り上げていらっしゃるとのこと。これまでに参加された方から新しいお仕事を依頼されることも多いそうです。

お話の中では、これまでに手がけられた哲学カフェや哲学対話の様子を多数紹介していただきました。例えば、世の中には必要な施設(ごみ処理施設や保育園など)だけれども、自宅の近くにあると困るという「NIMBY問題」についてとりあげた哲学カフェ、高専で実施された情報倫理をテーマにした哲学対話、患者家族会の方が対象の催しや、子育て中のお母さんたちを対象にした催しなど、対象もテーマも多様です。オリーブ園での「哲学ウォーク」という取り組みにもチャレンジされたとのこと。

カフェだけでなく、公民館、病院などの様々な施設で開催され、また、主催者側の目的も、地域交流、学びの場づくり、研修など多様です。正解の決まっていない問題について、様々な視点から多角的に探求すること、誰もが対等に対話できる場を提供することを重視しているそうです。

松川さんの話題提供に続いて、質疑応答とディスカッションが行われました。哲学カフェとサイエンスカフェの違いとは?、哲学カフェのファシリテーションでは哲学を学んだことをどのように生かしているのか?、そもそも哲学カフェの目的って?など、会場からは多くの質問があり、活発な議論が行われました。

文:細川 真梨子(医学研究科 博士前期課程1年)、「科学技術コミュニケーション入門B」担当教員



【案内文】
2020年1月21日(火)に、大阪大学吹田キャンパス テクノアライアンス棟1階 交流サロンにおいて、セミナーシリーズ「つなぐ人たちの働き方(2019年度冬)」の第5回を開催します。

今シーズン最終回(1/21)のゲストは、哲学者/カフェフィロ副代表の松川えりさんです。
松川さんは、阪大文学研究科に在籍していた頃からこれまでに、哲学カフェや対話セミナーのファシリテーターを数多く務めていらっしゃいます。
この日は、フリーランスの「てつがくやさん」として生きる松川さんから、阪大でどのようなことを学び、それをいまどのように活かしているのかをお伺いしたいと思います。



■第60回STiPS Handai研究会
○題目:つなぐ人たちの働き方(2019年度冬)#5
○ゲスト:松川 えり 氏(哲学者/カフェフィロ副代表)
○日時:2020年1月21日(火)14:40〜16:10(開場 14:30)
○場所:大阪大学吹田キャンパス テクノアライアンス棟1階 交流サロン
○対象:どなたでも
 *全学部生・全研究科大学院学生を対象とした授業の一環として実施します。
 *この日は、学内、学外を問わず、履修登録者以外の方の参加も歓迎します。
○参加:当日参加も可能ですが、できるだけ事前のお申し込みをお願いします。
○申込方法:
この「ウェブフォーム」への入力をお願いします。
または、
件名を「1月21日参加申込」として、以下の項目を明記の上、メールでお送りください。
・氏名(ふりがな)
・所属
○申込先・問い合わせ先:stips-info[at]cscd.osaka-u.ac.jp([at]は@にしてください)

○主催:公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)
○共催:大阪大学COデザインセンター

概要
科学や技術に関係する仕事がしたいけれど、研究者になりたいわけではない…
大学で学んだ専門を活かせる仕事に就きたい…

こんなモヤモヤした将来への悩みを抱えている方にお届けするセミナーシリーズ「つなぐ人たちの働き方」を開催します。

マスメディアや研究機関、行政機関といった、多彩な現場で活躍されているゲストから、
・異なる領域の間で働くということ
・自分の専門を現場で活かすということ
・専門が活きる仕事を創り出すということ
などについてお話を伺いながら、参加者全員で議論します。

大阪大学COデザインセンターが開講する2019年度冬学期授業「科学技術コミュニケーション入門B」の一環として開催しますが、この日は、履修登録者以外の方の参加も歓迎します。


プログラム
1)はじめに
2)ゲストによる話題提供「専門を活かす仕事をつくる〜てつがくやさんの場合〜」
3)質疑応答&ディスカッション(50分程度)

ゲストプロフィール

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程 単位取得退学。学生時代より哲学カフェの活動を始め、2005年、大阪大学臨床哲学研究室のメンバーを中心に、哲学対話を実践・サポートする団体カフェフィロを設立。
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任研究員を経て、フリーランスのてつがくやさん(哲学プラクティショナー)に。岡山を拠点に、カフェ、公民館、福祉施設、病院、学校などで哲学カフェや対話ワークショップの企画・進行を行う。


本シリーズについて
「つなぐ人たちの働き方(2019年度冬)」は以下のようなスケジュールで実施します。

#1 12月17日(火) 毎日放送 報道局・大牟田智佐子さん
#2 12月24日(火) 大阪大学共創機構・本田哲郎さん
#3 1月7日(火) 地域ビジネス実践者/起業家・八百伸弥さん
#4 1月14日(火) 国立情報学研究所 副所長/弁理士・篠崎資志さん
#5 1月21日(火) 哲学者/カフェフィロ 副代表・松川えりさん



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