シリーズ 科学技術×公共政策(2020年度冬) #1 原子力政策をめぐる政治過程

2020年12月17日(木)に、科学技術に関する公共政策の特徴を、具体例を通じて学ぶセミナーシリーズ「科学技術×公共政策(2020年度冬)」の第1回を開催しました(授業「科学技術と公共政策B」の一環として開催)。

この日は、講師や授業の履修生の一部のみ、豊中キャンパスの教室に集い、セミナーの参加者はオンラインでの参加となりました。授業の受講生に加えて、大阪大学の教職員や学生など計17人が参加しました。


今回は、昨年度に引き続き、大阪大学大学院法学研究科の上川龍之進教授をお招きしました。上川先生は日本学術会議の東日本大震災学術調査をきっかけとして、原子力政策について研究を進めていらっしゃいます。

研究会の前半は、上川先生がご著書『電力と政治』に執筆されたことをベースにしながら、原子力政策をめぐる政治過程について話題提供をいただき、後半は質疑応答とディスカッションを行いました。

参加者からは様々な質問が出されました。例えば以下のようなものです。
・原発がつくられる地域の地方自治体や住民の意思をどう考えたらよいのか。
・3.11前、日本原子力学会などは、電力会社や官庁に対してどのようなスタンスだったのか。
・官民一体で国策として原発を推進する「電源三法」のようなやり方はどのようにしてつくられたのか。

これらの質問は、上川先生から丁寧にお答えもいただきつつ、参加者とのディスカッションにつながるものでした。

終了後、参加者から寄せられた感想の一部をご紹介します(*実際に届いた文章に編集を加えて掲載しています)。
・「このような大事故が起こり得るシステムを民間企業が持っていてよいのか」という視点には、民間宇宙開発という流れを考える上でも注目しなければならないと気がついた。
・世論か専門家かのような対立が起こった場合の対処法が気になる論点ですが、どのケースにも当てはまるような解答はありません。ただ、もっと専門家と一般市民が対話できるシステムは設ける余地があるように思います。

次回の「科学技術×公共政策(2020年度冬)」(http://stips.jp/20210107/)は、2021年1月7日に開催されます。ご都合の合う方はぜひどうぞ。

【案内文】
2020年12月17日(木)に、「公共圏における科学技術政策」に関する研究会(STiPS Handai研究会)を開催します。


シリーズ 科学技術×公共政策(2020年度冬)第1回のゲストは、大阪大学大学院法学研究科の上川龍之進さんです。

もともと、金融政策・金融行政に関するご研究が専門だった上川さん。
ところが、3.11後の福島第一原子力発電所の事故を受け、日本学術会議の東日本大震災学術調査をきっかけとして、原子力政策についての研究にも関わるようになったのだそうです。
今回は、戦後日本の原子力政策をめぐる政治過程について、ご説明いただきます。

*大阪大学COデザインセンターが開講する2020年度冬学期授業「科学技術と公共政策B」の一環として開催します。

■第73回STiPS Handai研究会
○題目:シリーズ科学技術×公共政策(2020年度冬) #1 原子力政策をめぐる政治過程
○ゲスト:上川 龍之進 氏(大阪大学大学院法学研究科 教授)
○日時:2020年12月17日(木)15:10〜18:20
○場所:対面とオンライン会議システムの併用
*事前申込をされた方には、メールで参加方法をお伝えします。
○対象:大阪大学の学生・教職員
*全学部生・全研究科大学院学生を対象とした授業の一環として実施します。
*この日は、履修登録者以外の方の参加も歓迎しますが、事前申込をお願いします。
○参加費:無料

○申込方法:
1)ウェブフォーム
申し込みフォーム(https://forms.gle/DZBinPt3cYTysxAp8)から、必要事項を記入の上、送信をお願いします。
2)メール
以下の項目を明記の上、メールでstips-info[at]cscd.osaka-u.ac.jpまでお送りください([at]は@にしてください)。
・氏名(ふりがな)
・所属
・参加を希望する回の日付

申し込みいただいた方には、オンライン会議システムへの参加方法をメールにてお送りします。

ゲストプロフィール
京都大学法学部を卒業、京都大学大学院法学研究科博士後期課程を修了、博士(法学)を取得。日本学術振興会特別研究員、愛媛大学法文学部助手、講師を経て、現職。専門は政治過程論。
主な著書に、『電力と政治』『日本銀行と政治―金融政策決定の軌跡』、『小泉改革の政治学―小泉純一郎は本当に「強い首相」だったのか』、『経済政策の政治学―90年代経済危機をもたらした「制度配置」の解明』など。

プログラム
1)はじめに
2)ゲストによる話題提供「原子力政策をめぐる政治過程」(90分)
3)質疑応答&ディスカッション(90分)
○申込先・問い合わせ先:stips-info[at]cscd.osaka-u.ac.jp([at]は@にしてください)
○主催:公共圏における科学技術・教育研究拠点
○共催:大阪大学COデザインセンター

シリーズ 科学技術×公共政策(2020年度冬)について
科学技術に関する公共政策の特徴を、具体例を通じて学ぶセミナーシリーズです。
2020年度冬は、全2回の開催を予定しています。
文系理系を問わず、さまざまな分野の方のご参加をお待ちしております。

シリーズ 科学技術×公共政策(2020年度冬)
#1 2020年12月17日(木)
原子力政策をめぐる政治過程
ゲスト:上川 龍之進 氏(大阪大学大学院法学研究科 教授)
#2 2021年1月7日(木)
日本の科学技術イノベーション政策:政策立案の実際
ゲスト:新井 知彦 氏(スポーツ庁 国際課長)

大阪大学COデザインセンターが開講する2020年度冬学期授業「科学技術と公共政策B」の一環として開催します。この日は、履修登録者以外の方の参加も歓迎します。