【開催報告】政策立案ワークショップ(宇宙)研究評価会 

政策立案ワークショップ(宇宙)研究評価会を実施しました。

 2017年9月8日、STiPSの阪大メンバーが中心となって企画した「政策立案ワークショップ(宇宙)研究評価会」を開催しました。参加者は、宇宙政策に関わる政策実務者や多様な分野(宇宙政策、科学技術政策、科学技術社会論、科学技術コミュニケーション等)の研究者で、政府系機関(内閣府、文部科学省、JAXA、JSTなど)・研究機関など12機関以上から計21人(スタッフも含む。)でした。
 
 STiPSが進めている拠点間連携プロジェクト「新しい科学技術の社会的課題検討のための政策立案支援システムの構築」(*1)の一環として、これまで2回にわたり、宇宙政策をテーマにした「政策立案ワークショップ」を開催してきました。

 今回の研究評価会の目的は、第1回と第2回の議論を踏まえて、宇宙政策に関する倫理的・法的・社会的問題(ELSI)や、宇宙政策の立案・決定における一般の人々(国民、市民)の意見の把握や反映などについて議論すること。そして、一連の政策立案ワークショップに関して、その設計や内容について振り返ることです。

 まずは、2人の研究者から第1回と第2回に議論をした内容に関するコメントをいただきました。九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センターの小林俊哉准教授には科学技術政策の観点から、そして、東京大学公共政策大学院の城山英明教授には科学技術ガバナンスの観点からお話いただきました。


 その後、STiPSの工藤充特任助教から、今回のワークショップで議論をしたいことを説明した上で、グループディスカッションがスタートしました。今回、参加者のみなさんに考えていただいたテーマは「宇宙探査に関する政策的意思決定において、公共的関与は必要か?」というものです。



 3つに分かれたグループからは、こんな声が聞こえてきました。
「そもそも、公共的関与をどう定義するのか。」
「一般の人々からの意見を聞くというのは、総論では賛成だけれど、取り上げるテーマが宇宙探査となると、なかなか難しそう。」
「現状、パブリックコメントという制度があるものの、もう少し上流(政策の内容が確定していない段階)で、意見を聞いてくれないと、反映されないのでは。」

 最後は、平川秀幸教授によるまとめのコメント。
「『公共的関与』と『政策形成の現場』とをどうつなぐのか、対話をどうデザインするのか。遠すぎず近すぎず、ちょうどよい距離感が民主主義の成熟にとって重要で、これからも考えていきたいと思います。」


 今回参加してくださった方からは、「政策実務者と研究者が議論をできる場があるのはとても意義がある」「今回議論した内容は、今、まさに自分の仕事でも求められていることだと感じました。」「ネットワークが広がった。」というようなご感想をいただいたりもしました。今回の政策立案ワークショップを通じて、多様な政策実務者のみなさんと出会うことができました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。


*1:社会的により望ましい科学技術の研究開発や関連政策・法制度の実現を、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の観点からサポートするための政策立案支援システム(ツール)開発を目指しています。


以下、今回の研究評価会の開催概要です。

政策立案ワークショップ(宇宙)研究評価会
○日時:2017年9月8日(金)18:15〜20:30
○場所:エキスパート倶楽部(東京都千代田区)
○主催:公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)

○スケジュール(当初予定):
18:15 参加者集合
18:30 趣旨説明
 渡邉 浩崇(大阪大学COデザインセンター 特任准教授)
18:40 研究者からのコメント・話題提供
 1)小林 俊哉(九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター 准教授)
 2)城山 英明(東京大学公共政策大学院 教授)
 3)工藤 充(大阪大学COデザインセンター 特任助教)
19:00 グループディスカッション
19:40 休憩
19:50 全体ディスカッション
 八木 絵香(大阪大学COデザインセンター 准教授)
20:20 総括
 平川 秀幸(大阪大学COデザインセンター 教授)
20:30 ワークショップ終了