遺伝子組換え農作物を考えるコンセンサス会議




第1、2回の会議は準備会合、第3回が本会合として開催され、市民と専門家が深い討論を行います。最後の第4回は市民だけで会議を行い、「市民の考えと提案」という形で報告書をまとめました。開発に取り組む専門家は遺伝子組換え技術が、将来予想される人口爆発と食糧危機の解決、また農薬の使用量を減少させるなど、地球環境問題に有効であると主張。しかし市民は遺伝子組換え技術の可能性を認めながらも、フロンガスやプラスチック、アスベストの例を挙げ、使用が拡大した際に引き起こされる問題について懸念を示しました。また安全性を確認するための研究よりも、開発と実用化の研究が優先されていることも不安の1つとして主張。そのことに対して、遺伝子組換え技術に知的財産権が認められた結果、新しい品種を生み出すことによって巨額の利益を生み出すことがわかり、企業が技術開発に取り組でいるという説明をする専門家もいました。市民が驚いたのは専門家の見解も多様だということでした。最終日の「市民の考えと提案」の段階では、制限時間内では取りまとめの議論を行うのは容易ではありませんでした。特に白熱した議論となったのは、遺伝子組換え技術のこれからの開発の見通しと組換え食品の未来はどうかについてです。市民の多数の意見は、現に存在し流通している遺伝子組換え食品がある以上、節度ある技術開発を求めているとし、そのための一定の規制を求めました。また少数ながら完全撤廃を求める声もあり、それは多数決で一本化することなく少数意見として最終報告書には併記しました。