【開催報告】ワークショップ「宇宙政策の未来についてみんなで考える」@福岡市科学館

 2018年1月27日(土)、福岡市科学館 交流室1において、ワークショップ「宇宙政策の未来についてみんなで考える」が行われました。


 参加者は21人。高校生や学生、会社員など、幅広い年代の方にご参加いただきました。この日は、1グループ6人程度になるようにグループ分けをしていました。各グループにはグループファシリテータが1人ずつ加わり、今回初めて顔を合わる参加者のみなさんがワークショップの時間中過ごしやすいように気を配りました。


 まずは、全体進行の岩永真一さんより、宇宙や政策の専門家ではない人々が考えていることを知りたいという今回のワークショップの目的について説明がありました。「宇宙政策について考えるということは、一見難しそうに聞こえるけれど、心配しないでくださいね。」「知識がないと尻込みせずに、おしゃべりをするような感覚で、グループで対話をしてみてください。」ということをお伝えしました。


 ワークショップの趣旨説明に続いて、参加者のみなさんにお配りした絵本風の「対話ツール:これからの宇宙探査」の内容を確認しました。宇宙と一口にいってもさまざまなテーマ、切り口がありますが、今回のワークショップでは、どのようなことについて話していくのかを、参加者全員で共有しました。対話ツールには、この日議論したい問いが3つ(「なぜ宇宙探査をするの?」「日本は『宇宙先進国』であって欲しい?」「宇宙に人を送りたい?」)と、それに関連するキーワードや背景知識などが描かれています。この3つの問いに対するそれぞれの考えを発表したりしながら、グループでの対話を進めました。

 グループ対話の後半に入る前に、3人の専門家からの話題提供の時間も設けました。1人目は、今回のワークショップの企画者でもある渡邉浩崇(大阪大学COデザインセンター 特任准教授)。宇宙の政策に関する話題提供をしました。その後は、月や火星の探査に詳しい川勝康弘氏(宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所 教授)、そして、3人目は、科学と社会という観点からの話題提供を小林俊哉氏(九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター 准教授)にお願いしました。



 同じテーブルの人同士で語り合い、さらに、専門家の話を聞いた上で、何か気づいたところがあるのかどうか、最初の3つの問いに対する意見が変わったかどうかなどを、ワークシートに記入してもらいつつ、グループ対話の後半に入りました。3人の専門家も少しずついろいろなグループを回りながら、対話に参加しました。



 ワークショップの終わりには、グループファシリテータ6人から、それぞれのグループで話し合った内容について順番に発表してもらいました。最初は冒険心、誇らしさなどから始まった議論が、専門家のお話のあとでは予算、国際的な協力、バランスなども意識した議論になったというグループも多かったようです。他にも、宇宙探査なんて遠いところの話だと思っていたけれど、専門家の話を聞いたり、グループで対話をしたりするうちに、身近なことに感じたり、他の国や課題との関係も含めて考えることができるようになった、という意見も紹介されました。

*今回のワークショップは、STiPSが進めている拠点間連携プロジェクト「新しい科学技術の社会的課題検討のための政策立案支援システムの構築」の一環として、開催しました。