シリーズ科学技術×公共政策 #1 日本の科学技術イノベーション政策動向と国際ビッグプロジェクトに関する考察

2019年12月19日(木)に、大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構ステューデント・コモンズ1階カルチエ・ミュルチラングにて、科学技術に関する公共政策の特徴を、具体例を通じて学ぶセミナーシリーズ「科学技術×公共政策(2019年度冬)」第1回を開催しました(授業「科学技術と公共政策B」の一環として開催)。この研究会には、授業の受講生に加えて、大阪大学の教職員や学外からの参加者など23人が参加しました。

今回のゲストは文部科学省 科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官の山下恭範さんをお招きしました。また、科学技術・学術政策局 企画評価課の長澤幸祐さんにもお越しいただきました。

山下さんからのお話に先立ち、長澤さんからは、「科学技術イノベーション政策の推進体制と最近の動向について」というタイトルで、国の行政組織としての文部科学省の位置付け、第6期科学技術基本計画の検討状況や「研究力向上改革2019」など、現在の日本の科学技術イノベーション政策についてご紹介いただきました。


続いて、山下さんからは、以前、ご自身が関わられた研究会(*文部科学省平成25年度委託研究「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」の推進に向けた試行的実践」の一環として実施)の成果に基づき、科学技術分野における国際ビッグプロジェクトの立ち上げとその意義の変遷についてご説明いただきました。


具体的なプロジェクトの事例として、国際熱核融合実験炉(ITER)や国際宇宙ステーション(ISS)について紹介していただいた後、これらの事例から何を学ぶことができるのか、今後の新たなプロジェクトが立ち上がるとしたら何がどう教訓になるのか、といった観点でお話いただきました。

研究会の後半は、質疑応答とディスカッションの時間でした。参加者からはさまざまな質問やコメントが寄せられました。
例えば・・・
・「研究力向上改革2019」に書かれているような研究力の向上、たとえば若手研究者の育成や現状について知りたい。
・企業の博士人材の活用についてどのように考えているのか。
・第6期科学技術基本計画を考えるうえで、国立大学の予算などが減っている現状が気になっている。
など、多様な話題で議論が活発に行われました。

参加者からは、「現在の日本の体制について概要を理解することができた」「国際ビッグプロジェクトには政治的・科学的・社会的要素をしっかり考えなければならないことがわかった」「難しい問題に対して日々悩みながら取り組んでいらっしゃることが伝わってきた」という感想が寄せられました。

今シーズン第2回目は、2020年1月23日の開催です。



【案内文】
2019年12月19日(木)に、大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構 ステューデント・コモンズにおいて、「公共圏における科学技術政策」に関する研究会(STiPS Handai研究会)を開催します。今回のゲストは、文部科学省の山下恭範さんです。



■第61回STiPS Handai研究会 ○題目:シリーズ 科学技術×公共政策 #1 日本の科学技術イノベーション政策動向と国際ビッグプロジェクトに関する考察
○ゲスト:山下 恭範 氏(文部科学省 科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官)
○日時:2019年12月19日(木)14:40〜17:50(開場 14:30)
○場所:大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構ステューデント・コモンズ1階 カルチエ・ミュルチラング
○対象:どなたでも
 *全学部生・全研究科大学院学生を対象とした授業の一環として実施します。
 *この日は、学内、学外を問わず、履修登録者以外の方の参加も歓迎です。
○参加:当日参加も可能ですが、できるだけ事前のお申し込みをお願いします。
○申込方法:
この「ウェブフォーム」への入力をお願いします。
または、
件名を「12月19日参加申込」として、以下の項目を明記の上、メールでお送りください。
・氏名(ふりがな)
・所属
○申込先・問い合わせ先:stips-info[at]cscd.osaka-u.ac.jp([at]は@にしてください)
○主催:公共圏における科学技術・教育研究拠点
○共催:大阪大学COデザインセンター


概要 シリーズ 科学技術×公共政策
科学技術に関する公共政策の特徴を、具体例を通じて学ぶシリーズです。
2019年度冬は、全2回の開催を予定しています。
文系理系を問わず、さまざまな分野の方のご参加をお待ちしております。

シリーズ 科学技術×公共政策
#1 2019年12月19日(木)
 日本の科学技術イノベーション政策動向と国際ビッグプロジェクトに関する考察
 ゲスト:山下 恭範 氏(文部科学省 科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官)
#2 2020年1月23日(木)
 原子力政策をめぐる政治過程
 ゲスト:上川 龍之進 氏(大阪大学大学院法学研究科 教授)

科学技術×公共政策(2019年度冬)第1回のゲストは、文部科学省の山下恭範さんです。
日本の科学技術イノベーション政策の動向をご紹介いただきます。特に、科学技術分野における様々な国際ビッグプロジェクトに対して国としてどのように関わっていくのかということを、ご自身の行政経験に照らしてお話しいただきます。

大阪大学COデザインセンターが開講する2019年度冬学期授業「科学技術と公共政策B」の一環として開催しますが、この日は、履修登録者以外の方の参加も歓迎します。

プログラム 1)はじめに
2)ゲストによる話題提供「日本の科学技術イノベーション政策動向と国際ビッグプロジェクトに関する考察」(80分)
3)質疑応答&ディスカッション(80分)
ゲストプロフィール 京都大学工学部機械系学科伝熱工学教室卒業後、1996年に科学技術庁入庁。文部科学省(科学技術庁を含む)では、ITER計画、科学技術振興調整費、文部科学省の科学技術予算の企画調整、全国学力・学習状況調査のプロジェクトの立ち上げ、SciREX事業、東日本大震災直後の緊急時対応や原子力損害賠償に関する業務などに携わるとともに、環境省(庁)、IAEA、外務省(在ロシア日本国大使館)などへ出向。2019年1月より現職。政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策プログラム博士課程単位取得満期退学(2016年)。


Flyer_STiPSHandai191219_200123(PDF:422KB)