【開催報告】ワークショップ「宇宙政策の未来についてみんなで考える」@大阪

 2018年5月19日(土)、UMEDAI 大阪・梅田会議室において、ワークショップ「宇宙政策の未来をみんなで考える」を開催しました。福岡(2018年1月27日開催)に続いて大阪での開催です。今回も会場はみなさんの熱い議論で大いに盛り上がりました。

 この日の参加者は24人。20代から70代まで、幅広い年代の方にご参加いただきました。会場に到着した方から順番にテーブルへ。1グループ、5~6人の参加者とグループファシリテータで、議論を進めます。今回はSTiPSの修了生や現役履修生たちがグループファシリテータをつとめました。

 まずは、全体進行の八木絵香(大阪大学COデザインセンター 准教授)より、ワークショップの趣旨説明から。宇宙政策の専門的な知識をもとに何かを語ってほしいというよりはむしろ、宇宙政策には日頃接することがない人々が、自身の日常の経験や、職業経験などから宇宙政策について語り、その中で出てきた意見を、実際に日本の政策を考える人たちに届けることが目的であることをお伝えしました。

 続いてグループ内で自己紹介。今回は名前と、「宇宙開発を色に例えると何色か?」を、理由とあわせて紹介するスタイルで。ちょっと怖いイメージだから「黒」、空の続きだから「青」、未知なるものへの希望も込めて「虹色や玉虫色」など、すでにみなさんの熱い思いが語られ、会場は一気に和やかな雰囲気に。

 自己紹介が済んだところで、対話の準備として、絵本風の「対話ツール:これからの宇宙探査」を用いて、本日の対話のテーマや、その背景となる宇宙政策の概要について確認しました。対話ツールには、この日議論したい3つの問い(「なぜ宇宙探査するの?」「日本は『宇宙先進国』であって欲しい?」「宇宙に人を送りたい?」)と、それに関連するキーワードや基礎情報などが描かれています。全員で問いを共有したところで、まずはその問いに対する自分の考えをワークシートに記入してから、グループでの対話に移りました。

 対話では、「大阪のおばちゃんとしては、宇宙探査にロマンなんて感じない」といったコメントや、「安全面でも調査の質の点でもロボットが行くので良いと思うけれど、個人的には宇宙に行ってみたい」など、宇宙好きな人の本音も聞こえてきました。
 
 グループファシリテータのみなさん、最初は緊張した面持ちでしたが、グループファシリテータ向けの事前レクチャーを思い出しつつ、対話を整理したり、参加者のみなさんからの質問を深めたりと大忙しです。

 前半のグループ対話のあとは、3人の専門家による話題提供の時間です。今回のワークショップ企画者である渡邉浩崇(大阪大学COデザインセンター 特任准教授)からは、宇宙政策について。川勝康弘氏(宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所 教授)からは、宇宙探査について。小林俊哉氏(九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター 准教授)からは、科学と社会について、話題提供を行いました。

 
 対話の後半では、グループ内で語り合い、さらに専門家の話を聞いた上で、何か気づいたことがあるのかどうか、最初の3つの問いに対する意見が変わったかどうかなどをワークシートにあらためて書き出してから、ディスカッションを始めました。
ここからの時間は、先ほど話題提供をした3人の専門家もグループでの対話に参加しました。質問カードで寄せられた内容や、グループであらたに議論になったことなどの質問に答えながら、テーブルを回っていきます。

 最後に6人のグループファシリテータから、それぞれのグループで話した内容について、順番に発表してもらい、会場全体で共有しました。
専門家の話題提供やグループ内での対話をとおして、国を超えて協力して技術を高めてほしいという議論になったグループや、最初は費用対効果が気になっていたが、やはり新しい技術に向けて積極的に取り組んで欲しいという方向に議論が向かったグループもありました。クラウドファンディングやふるさと納税のような仕組みがあれば、社会からの関心も高まるのでは?という提案も紹介されました。

*今回のワークショップは、STiPSが進めている拠点間連携プロジェクト「新しい科学技術の社会的課題検討のための政策立案支援システムの構築」の一環として、開催しました。