日本の科学者はどこへ行くのか?「シリーズ:科学技術イノベーション」 (16) 開催報告

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2015年12月10日木曜、奈良先端科学技術大学准教授の駒井章治先生をお迎えし、「日本の科学者はどこへ行くのか?」という、とても大きなテーマについて、ご自身の幅広い経験に基づく大変面白いお話を聞かせて下さいました。日本の大学行政においては最近、イノベーションの創出、社会的要請への対応、世界大学ランキングなど、「出口」を見据えた戦略を立案し、それに沿ったアクションを求められることが増えてきています。とは言え、こうして予め出口を決めてしまうことがもたらす利点もある一方で、そればかりが強調されると、科学者が「これが面白い!」「こんな研究がしたい!」といった内発的な動機によって支えられる研究が相対的に縮小してしまうことにつながりかねません。任期付きの雇用が増え、研究資金の獲得や短期的な研究成果の達成に追われるあまり、研究者にとって最も大切な資源であるはずの「時間」もどんどん減ってきており、自分の本当にしたいと思う研究になかなか腰を据えて集中できない・・・。そんな状況のなか、「だから科学者の向かう先は暗い」と落ち込むのではなく、だからこそ科学者は自分たちがどこへ向かいたいのかをしっかりと考え、積極的に行動を起こしていくにはどうすればよいのか。面白いと思う気持ちを共有できる研究者が集まり、グループとして活気を高めて、周りの人をどんどん巻き込んでいく。そんな新しい研究の形を支える仕組みを作るためにはどうすればよいのか。セミナーの後半では、聴衆の方から挙がった教育や芸術、メディアや政策といった多様な質問に答えなが
ら、この大きな課題について皆で議論しました。

【案内文】

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科学技術が社会にとってより良いものとして発展していく条件とは何か?各界で活躍するフロントランナーをお招きし、「社会の中のイノベーション」という観点から刺激的な時を共有するこのシリーズ、第16回は、奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科の准教授として、日々「細胞認知神経科学」の確立を目指して研究に邁進すると同時に、日本学術会議等で、科学者のあり方そのものを問い続ける駒井章治さんに、日本の科学者の未来についてお話を伺います。

日 時:2015年12月10日[木] 19:00−20:50
場 所:アートエリアB1(大阪市北区中之島1−1−1、京阪電車なにわ橋駅地下1Fコンコース)
定 員:50名程度(当日先着順・入退場自由)
ゲスト:駒井章治(奈良先端科学技術大学院大学)
カフェマスター:神里達博(大阪大学CSCD客員教授、千葉大学教授)
主 催:公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS、大阪大学・京都大学連携プログラム)

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※開場・受付は各回開始30分前より。
※内容は予告なく変更になる可能性があります。予めご了承ください。
※一部のプログラムの主催・共催・協力等の表記は、本プロジェクトチームと各方面の共同により実施しているものです。