「高校」というフィールドでの科学教育 「公共圏における科学技術政策」に関する研究会(STiPS Handai研究会)(27)開催


 2017年6月27日(火)に、大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構スチューデントコモンズ2階セミナー室Aにて、第27回「公共圏における科学技術政策」に関する研究会(STiPS Handai研究会)「『高校』というフィールドでの科学教育」を開催しました(授業「科学技術コミュニケーション入門B」の一環として開催)。

 今回は、神戸大学の進藤明彦さんを講師としてお招きしました。この日の研究会には、11人(うち、大阪大学教職員3人)が参加しました。

 「最近まで放送されていたTVドラマ『リバース』にならってリバース風に話を進めてみます。」という進藤さん。「今、「科学技術コミュニケーション入門B」のゲストスピーカーとして、ここに立っています。その前は・・・」というように、自己紹介が始まりました。

 2016年3月までは高校の生物教員だった進藤さんは、今は神戸大学でAO入試の開発に関わるお仕事をされています。今後は、AO入試を通じて大学に入る学生さんの入学前教育の開発も進めるのだそうです。職場をがらっと変えたその訳は、「日本の入試を変えたかったから。そして、入試を変えることを通じて、高校教育を変えたかったから。」だそうです。

 高校の生物教員時代も、多様な活動をされていました。そのうちの1つが、「高校生オススメ全国科学館・博物館ガイド」作成プロジェクト。全国のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校に呼びかけて行ったもので、博物館利用が少ない中学生や高校生に向けたガイドブックを、高校生視点で作成してみよう!というプロジェクトでした。まずは全国から日本科学未来館に集合して事前研修を行い、その後は各学校に戻って地元の科学館や博物館を取材し、そして、各校4ページ分のガイドを作成して、最後はみんなで再び集まって発表会。高校生の科学コミュニケーション能力の向上、高校と博物館との連携促進を目指したこのプロジェクトの成果物は、以下のリンクからダウンロードできます。
http://www.tamasima.okayama-c.ed.jp/ssh/2014/tiikirenkei-kokusaisei/koukousei-guide/koukousei-guide.html
 JST理科教育支援センターでお仕事をされていた時期もあったそうです。この時には、理科才能教育に関する提言をまとめて報告書を出したり、全国の学校の先生を対象にした実態調査を行ったりされていました。

 こんなにアクティブな高校教員になったきっかけは、勤務校で課題研究の指導を始めたこと、だそうです。いろいろな情報を集める中で、海外の中高生対象の研究発表会(規模も大きいし、かっこいい!)を見て衝撃を受けたり、現状の日本の高校の現場が抱える課題を認識したり、大学入試制度の弊害を感じたりする中で、既存の枠から少しずつはみ出る活動もするようになったのだそうです。

 参加者を交えたディスカッションの時間では、「高校生が課題研究に取り組むには、本当は研究スキルのようなものを順番に伝えていかないといけないのだけれど、それがなかなか難しい」ということについて、また、「海外の科学研究発表会が日本よりもだいぶ盛り上がっているのはなぜだ?」ということについて、盛り上がりました。


【案内文】
Flyer_for170627

■第27回STiPS Handai研究会
○題目:「高校」というフィールドでの科学教育
○ゲスト:進藤 明彦 氏(神戸大学アドミッションセンター 特命准教授)
○日時:2017年6月27日(火)16:20~17:50
○場所:大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構 ステューデントコモンズ2階 セミナー室A

○参加:当日参加も可能ですが、できるだけ事前のお申し込みをお願いします。
○申込方法:件名を「第27回STiPS Handai研究会・参加申込」として、
①氏名(ふりがな)②所属を明記のうえ、stips-info[at]cscd.osaka-u.ac.jp
([at]は@にして下さい)までお送りください。

○主催:公共圏における科学技術・教育研究拠点