ライフサイエンス研究の倫理的・社会的課題について考える「公共圏における科学技術政策」に関する研究会(STiPS Handai研究会)(16) 開催報告

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 2016年7月19日(火)に、大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構 ステューデントコモンズ2階セミナー室Cにて、第16回「公共圏における科学技術政策」に関する研究会(STiPS Handai研究会)「ライフサイエンス研究の倫理的・社会的課題について考える~ゲノム編集技術のヒト受精卵への応用を中心に~」を開催しました(大学院生対象の授業「科学技術とコミュニケーション」の一環として開催)。
 今回のゲストは、加藤和人教授(大阪大学大学院医系学研究科 医の倫理と公共政策学分野)。授業の受講生8人(大学院生7人、社会人1人)に加えて、8人(大学院生2人、教職員6人)、計16人が参加しました
 まずは、ゲノム編集が取り上げられた回の NHK「クローズアップ現代」(2015年7月30日放送、“いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~)の一部を見ながら、ゲノム編集技術が活用されつつある様々な事例について学びました。その後、ゲノム編集技術のメリットと課題、特に、ヒトの生殖細胞系列(つまり、世代を越えて伝わるような遺伝子改変)について、考えてみました。これを推進した場合、どんなメリット/デメリットがあるのだろうか。ということを、まずは個人で考え、そして、その後グループで話し合いました。
 グループで話し合った意見を発表した後は、加藤先生から、現在世界の研究者たちがどのような声明をだしているのか、日本の状況はどうなっているのか、といったことをご紹介いただきました。例えば、日本の含む約20か国から500名近くが参加して、ヒトのゲノム編集について議論した会議「International Summit on Human Genome Editing」(2015年12月1-3日に開催)が出した声明には、以下のように触れられているそうです。
・基礎研究(体細胞・生殖系列いずれも)は適切な規制のもと進めるべき。
・臨床応用は体細胞について有益であるが、生殖細胞系列の世代を超えたゲノム改変は現時点では認められない(将来現時点では認められない(将来にわたって禁止ということではない)。

 これからも、様々な観点からの議論が必要なテーマです。

 この研究会に参加した学生さんからは「賛成・反対どちらの意見も聞ける前提で授業が作られていて良かった。」「ヒトゲノム編集について、医学部だけではなく他分野の人の意見を聞くことができ興味深かったです。」といった感想が寄せられました。 


【案内文】

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■ 第16回STiPS Handai研究会
○題 目:ライフサイエンス研究の倫理的・社会的課題について考える
     〜ゲノム編集技術のヒト受精卵への応用を中心に〜
○ゲスト:加藤 和人 氏
     大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学分野 教授
     京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)
     科学コミュニケーショングループ 特任教授
○日 時:2016年7月19日(火)14:40〜16:10
○場 所:大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構
     ステューデントコモンズ2階 セミナー室C

○参 加:無料、要事前申し込み
○申込方法:件名を「第16回STiPS Handai研究会・参加申込」として
      ①氏名(ふりがな)②所属を明記のうえ、stips-info[at]cscd.osaka-u.ac.jp
      ([at]は@にして下さい)までお送りください。

○主 催:公共圏における科学技術・教育研究拠点
     (STiPS 大阪大学・京都大学連携プログラム)

※大学院生対象の授業「科学技術とコミュニケーション」の一環として開催します。